埼玉県入間郡越生町(おごせまち)は、外秩父山地の麓の町で「越生梅林」などで知られています。「五大尊つつじ公園」は越生町の中心部に面した里山にあり、花の季節にはツツジの花と新緑で彩られます。
五大尊のつつじは江戸時代に境内に植えられたのが始まりといわれ、樹齢300年以上のつつじもあるそうです。つつじ園も含めて、いろいろなつつじを楽しむことができました。
## 公園への行き方
東武越生線・JR八高線の越生駅から徒歩15分くらいです。
車の場合は、越生駅西側から県道30号(バイパスではない町なかの道)を北に進むと、越生町役場の入口を過ぎて、「黒岩」交差点の次の路地を左に曲がります。県道に看板がありますが、信号がないところで小さな路地へと曲がるので、注意していないと見落としてしまうかもしれません。路地に入ると、すぐにある十字路の先が駐車場です。
駐車料金は普通車400円、入園料は中学生以上200円でした(花の期間中)。
## 五大尊つつじ公園
五大尊つつじ公園は、山の斜面を利用した公園で、南北方向に広がっています。北側(案内図の右側)に五大尊堂やイナフクミ社などがあり、南側(案内図の左側)は東屋などがあるつつじ園になっています。
駐車場や入口の広場は、案内板では右下の部分になります。ここにトイレもあります。今回は先につつじ園から歩きました。
### つつじ園
入口の広場から坂を登り、そこから左に行くとつつじ園方面です。五大尊つつじ公園は、四国八十八ヶ所霊場と日本百観音霊場(西国三十三・坂東三十三・秩父三十四)の写し霊場にもなっていて、道沿いには石碑が並んでいます。もともとは江戸時代に当地出身の鈴木金兵衛という人が百八十八ヶ所の写し霊場をつくることを目指して始めたそうです。当時は完成までは至らなかったということですが、平成になり残りの石碑を作成して整備されたということです。
遊歩道は山の斜面をぐるりと巡るようになっていて、いろいろな色のつつじを、下から、そして上から見ることができます。
一番上のほうまで登ると結構な高さがあり、越生の町を見下ろすことができます。階段になっている部分があるので、歩きやすい靴がお勧めです。
園内には10種類以上、約10000株のつつじがあるそうです。紫、赤、ピンク、白など様々な色で楽しませてくれます。新緑に映えて美しいです。
### 五大尊堂・イナフクミ社周辺
つつじ園を巡ってきたあとは五大尊堂にお参りです。平安時代の作と考えられる五大明王像が伝えられていて、埼玉県の有形文化財に指定されているそうです。
五大明王は、不動明王を中心とする五尊の明王で、降三世明王(ごうざんぜ)明王、金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王、不動明王、大威徳(だいいとく)明王、軍荼利(ぐんだり)明王のこと。
埼玉県立歴史と民俗の博物館には江戸から五大尊への参詣を案内する浮世絵「五大尊明王開帳参詣図」が所蔵されているそうです。
五大尊堂から少し下ったところにあるのがイナフクミ社です。案内板によれば、群馬県の甘楽町と下仁田町にまたがる稲含山に鎮座する稲含神社を分祀したと考えられているそうです。稲含神社の祭神である豊稲田姫は、南天竺(インド)の狗留吠国から稲を伝えたという伝説があります。
ダキニ天(吒枳尼天)と習合していることがあり、こちらではダキニ天を祭神としているようです。
現在の社は、もともと黒岩村八坂神社の御輿殿だったという建物です。五穀豊穣と養蚕の神様で、繭を収めた額が奉納されていました。
階段を降りてきて振り返ります。次の写真で、左のまっすぐ伸びているのが五大尊堂参道の階段、右側にあるのがイナフクミ社参道の階段です。ここには斜面を登る遊歩道もあり、そちらを使うと階段はあまり使わずに登り降りできそうでした。